現在、日本に最も多い病気は血管が閉塞する脳梗塞、心筋梗塞などの疾患、それにアレルギー疾患、癌などの免疫異常、さらには糖尿病、高コレステロール血症といった生活習慣病です。その予防と治療に大変関係深いものの一つに赤血球のしなやかさ(流れやすさ)となる血液のレオロジー機能があります。血液のレオロジー機能(サラサラ度)は、赤血球が酸素と栄養を細胞に運ぶ重要な役割で生命の要といえます。
血管が詰まると梗塞を起こしますが、脳の血管に梗塞が起これば脳梗塞、心臓の血管に梗塞が起これば心筋梗塞となります。梗塞には大きな血管と小さな血管に起こり区別されます。大きな血管では動脈硬化で血管が硬くなり狭くなり、例えば血管の直径3㎜が1㎜に狭くなると、赤血球と赤血球が団子状態になって詰まっていくので、血液をくっつき難くしておくことで梗塞の予防ができます。 幸いにも今は血液同士がくっつき難くする薬が開発され、大きな血管の梗塞による救命率は上がっています。
ところが、小さな血管が詰まるのを防ぐ薬はまだないのです。赤血球は500万個/1㎜³という赤血球の直径は7ミクロンで、細胞の細部まで行き届くためには最も細い毛細血管は常識的には通過できません。なぜなら毛細血管の直径は5ミクロンしかないからです。そこで生命の力はすごいと思いますが、赤血球は毛細血管を通り抜けるために“しなやかさ”を持っているのです。心臓から出ていった血液は必ず途中で毛細血管を通ります。もし赤血球変形能のしなやかさが悪く、1個詰まっただけでも後に連なる赤血球が通り抜けません。赤血球変形能が低下し赤血球が詰まると、徐々に末端の毛細血管がだめになっていきます。あらゆる細胞の最先端は毛細血管ですので、年齢と共に、これがじわじわと詰まっていき小さな梗塞が増えてくるのです。脳の中の小さな血管が詰まると(小さな梗塞が)ボケの原因にもなるのです。